保釈というのは,どのような場合に認められるのですか?
法律上は,保釈は一定の例外事由に当たる場合を除き,原則として許可され,例外事由にあたる場合であっても,「適当と認めるとき」は,許可されることになっています。しかし,実際には保釈が許可されない場合も多いといえます。
保釈の請求があったときは,一定の例外事由に当たる場合を除いて,「これを許さなければならない」と定めており,許可されるのが原則になっています(刑事訴訟法89条)。
また,例外事由に当たる場合でも,「適当と認めるときは,職権で保釈を許すことができる」と定められています(同法90条)。
このように刑事訴訟法上は,保釈は許可されて当然のように思えますが,現実には,「罪証隠滅のおそれがある」と簡単に認定されて保釈が許可されないことが多々あり,あたかも許可されないのが原則であるかのようになっています。
なお,保釈が許可されない例外事由とは,以下のとおりです。
- 死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯したとき。
- 被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
- 被告人が常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯したとき。
- 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 被告人が,被害者等の身体財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
なお,保釈は,あくまでも「被告人」にのみ認められておりますので,起訴されるまでの勾留段階においては保釈は認められません。